【社長】社会保険料を減らすための方法

 今回は、前回(【会社員】社会保険料を減らすための3つの方法)に引き続き、社会保険料を減らすための施策を記事にしていきたいと思います。

 前回は会社員の方向けに記事を書きましたが、今回は中小・零細企業の社長さんで、ある程度高額の役員報酬を受け取っている方が前提となる施策です。

 会社を経営している社長さんは知っておいて損はないので、ぜひチェックしてください!

前提について

 本題に入る前に前提条件から説明していきます。前回の記事とほぼ同じ条件です。

 今回の記事で説明する社会保険は、協会けんぽ(全国健康保険協会)が運営している健康保険と日本年金機構が運営している厚生年金保険について説明をしていきます。

 したがって、国民健保や国民年金に加入している場合は計算方法が違います。

 会社や業界独自の保険等に加入している場合は、協会けんぽと同様の考え方で計算しているケースは多いと思いますが、必ずご自身でご確認してください。

ボーナスに係る社会保険料の決定方法

 前回説明した社会保険料の決定方法は、主に毎月支払われる給与に係る社会保険料のものです。

 今回はボーナスに係る社会保険料の決定方法を説明します。

 ボーナスが支払われた場合は、ボーナスの額面金額(千円未満切捨)に料率を掛けて計算します。

 現在(2019年6月)の料率(東京都の場合)は、健康保険が9.9%、介護保険(40歳以上64歳以下の方のみ)が1.73%、厚生年金が18.3%です。

 額面金額×料率で計算した金額を、会社と個人で折半することになります。

 例えば、ボーナスが100万円だった場合、健康保険が99,000円、介護保険が17,300円、厚生年金が183,000円となり、会社と個人がそれぞれ半分ずつ負担することとなります。

 ここで確認しておくべき点があります。
 それは社会保険料が発生するボーナスの額面金額には上限が定められています。

 健康保険・介護保険の上限は573万円/年 、厚生年金の上限は150万円/月となっており、支払われたボーナスのうちこれらの金額を超えた部分については社会保険料が発生しません。

 例えば、ボーナスを900万円(年間1回の支払)に設定した場合、ボーナスのうち327万円分(=900万円-573万円)については健康保険料・介護保険料が、750万円分(=900万円-150万円) については厚生年金料が発生しません。

 つまり、毎月の役員報酬の金額を抑えて、ボーナスの金額を高くすることによって社会保険料の金額を抑えることができるのです。

 この場合、上限額(150万円or573万円)を超えるようなボーナスを支払わなければ、恩恵を受けることができないので、注意してください。

少なくなる社会保険料はいくら?

 社会保険料を下げるための理屈を理解したところで、実際にどれくらい社会保険料を抑えられるのかシミュレーションをしてみましょう。

 今回は、年収が600万円の社長さんを例に挙げてシミュレーションをしていきます。

 ・パターン①:毎月50万円の役員報酬・ボーナス0円
 ・パターン②:毎月32万円の役員報酬・ボーナス216万円
 ・パターン③:毎月15万円の役員報酬・ボーナス420万円

 早速シミュレーション結果を見てみましょう。

 結果を見ていただければ、パターン①に比べて、パターン②・③の社会保険料の金額が少なくなることが分かるかと思います。

 ボーナスが216万円であるパターン②は、パターン①と比べて、個人負担額が60,390円、会社+個人負担額が120,780円小さくなっています。

 ボーナスが420万円であるパターン③は、パターン①と比べて、個人負担額が365,670円、会社+個人負担額が731,340円小さくなっています。

 この通り、年収に対してのボーナスの金額の割合が高くなればなるほど、社会保険料の負担額が小さくなり、手元の資金が浮くことになります。

 ご自身・会社の社会保険料の負担がどれくらい小さくなるかについては、会社の顧問税理士・社労士等に相談してみてください。

 報酬の支払い方を変えるだけで数十万円も社会保険料の負担額が小さくなるならぜひ取り組みたいですね。

デメリットについて

 毎月の役員報酬を下げて、ボーナスを支払うことによるメリットは感じていただいたと思いますが、同時にそんなうまい話の裏には落とし穴があるんじゃないの?と思う方も多いと思います。

 そこで、この方策に関して、てつろーが考えるデメリットを挙げていきます。

将来受け取る年金の額が少なくなる

 厚生年金保険料を支払う金額が少なくなるため、将来受け取る年金の額が少なくなります。

 これについては個人の価値観によって損得の考え方が分かれるところかと思います。

 厚生年金保険料を国に支払って、将来国から受け取る年金の額を増やそうとするか、手元の資金を確保して、それを基にさらに投資して手元資金を自分で増やそうとするかの違いです。

 現在年金について大きく問題になっていますので、慎重に判断していきましょう。

年金事務所から調査が来る可能性がある

 年金事務所から社会保険料の支払金額に関する調査が来る可能性があります。

 その際に、毎月の役員報酬額とボーナス額のバランスについてうまく説明することができないと、適正な社会保険料の額に計算し直されて、社会保険料の追徴を受ける可能性があります。

 「社会保険料の負担額を減らすためにボーナスを増やしました!」という説明ではおそらく99%NGになると思います。

 そのため、あらかじめストーリーを考えておく必要があります。

 例えば、「会社の資金繰り上、○月に大きな売り上げが入るため、そこに合わせて役員に報酬を支払うためにボーナスを設定しています」とかですかね。

 会社の月次決算や、資金繰りなどに絡めた説明を考えるとすんなり説明を受け入れてくれる可能性が高くなると思います。

 調査に関する具体的な対策については顧問税理士・社労士さんに相談してください。

法人税等が高くなる(会社の税金)

 デメリットとまでは言えないかもしれませんが、会社の決算上の数値の動きを説明します。

 決算を経験した社長はわかると思いますが、社会保険の会社負担額は会社の経費として計算されます。
 社会保険料(経費)が少なくなった分、会社の利益が大きくなり、法人税等が高くなります。

 法人税等は少なくなった経費の額×税率分を払うことになるので、上記のパターン③の場合では、社会保険料の減額分約36万円に法人税等約23%を掛けた約8万円を法人税等として支払うことになります。

 会社の決算としては、約36万円(社会保険料の減額)-約8万円(法人税等の増額)=約24万円 の利益が増える計算となります。

 会社の資金繰りとしては、約73万円(社会保険料の減額(個人+会社負担))-約8万円(法人税等の増額)=約65万円 の手元資金が浮く計算となります。

 社会保険料が減った結果、法人税等は増えますが、トータルとしての利益及び手元資金としては得になる計算です。

所得税及び住民税が高くなる(個人の税金)

 これも前項と同じような考え方になります。

 社会保険料は、所得税・住民税の計算上「社会保険料控除」という所得控除の計算に利用されます。
 (所得税の計算方法を詳しく知りたい方はこちら➡【今更聞けない】所得税の申告・計算方法を知りたい

 所得税・住民税の計算上の経費が減るため、所得(利益)が増え、税金が増える計算になりますが、法人税等と同様にトータルとしての資金繰りは得になります。

必要な手続きについて

 続いて必要な手続きについて説明していきます。

 毎月の役員報酬とボーナスそれぞれについて手続きが存在します。

毎月の役員報酬の変更

 毎月の役員報酬を変更する場合は、事業年度開始の日から3ヶ月以内に株主総会によって行わないといけません。

 そのため、事業年度開始から3ヶ月以内に株主総会を開き、議事録を残すようにしてください。

 株主総会議事録には役員等の押印が必要なので、忘れないようにしてください。

 こちらは顧問税理士に相談してみましょう。

『事前確定届出給与に関する届出』の提出

 役員に支払うボーナスのことを「事前確定届出給与」といいます。

 役員に対しては自由にボーナスを支払うことができず、税務署に対して事前に「ボーナスを支払う予定です」という届出を提出する必要があります。

 その届出が『事前確定届出給与に関する届出』というものです。

 こちらも提出期限が決まっており、株主総会が開かれた日から1月以内か、事業年度開始の日から4月以内のどちらか早いほうが期限となります。

 事前確定届出給与に関しても株主総会を開く必要がありますので、役員報酬の変更と同様、議事録の用意を忘れないようにしてください。

 こちらの事項についても顧問税理士に相談してみてください。

さいごに

 ここまで記事を見てくださりありがとうございます。

 一つの工夫で社会保険料が数十万円減る効果が出るため、現時点で役員報酬を十分に受け取ることができている社長さんはぜひ検討してみてください。

 また、役員報酬や役員のボーナスについては注意しなければならない点が多いため、いつか記事にしたいと思います。

 記事の途中で何度か言っていますが、役員報酬やボーナスについては、社会保険についても、法人税についても、年金事務所や税務署によく注意して確認される項目なので、必ず顧問税理士・社労士に確認を取るようにしてください

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